ゲーム・コンテンツ研究 詳細

Research

有料利用ユーザーの属性調査

インターネットによってコンテンツの無料利用(フリー)が広まるなか、あえて有料利用をするユーザーの行動特性・利用動機を知り、デジタルコンテンツのマネタイズ要因を 探っていくための研究です。

マネタイズの先駆的事例として韓国オンラインゲームの調査を実施しました。その後、日本のオンラインゲームユーザーを対象に調査をしています。

主にオンラインゲームを研究してきましたが、近年では、他のコンテンツ(動画サイト・コミュニティサイトなど)の調査、プラットフォーム比較調査(携帯とPC)など、調査対象を拡大しています。

2001~2003
韓国オンラインゲームユーザーの属性調査
ブロードバンド化が先行した韓国において調査を開始した。ゲームユーザーの行動を国・文化の特性として説明するのではなく、インターネット上の人間行動の普遍性を探索するアプローチをとる。
野島(2002)「コミュニティと企業戦略の適合モデル:オンライン・ゲーム産業の事例」『赤門マネジメント・レビュー』 

野島美保・魏晶玄(2003) 「オンラインゲームのマーケティング戦略: 韓国ユーザー調査をもとに」 経営情報学会春季全国研究発表大会。

2003~
日本のオンラインゲームユーザーの属性調査

韓国調査の知見を活かし、日本のオンラインゲーム市場が立ち上がり、様々な調査を日本で実施した。
特定ゲームタイトルにおける産学共同研究の他、ゲームコミュニティサイト・ゲームニュースサイトなどとゲーム横断的な共同調査を行った。

野島美保(2008)『人はなぜ形のないものを買うのか-仮想世界のビジネスモデル』にて一部調査を紹介

2007
動画サイトのユーザー分析
情報通信総合研究所と共同調査
野島美保(2008)『人はなぜ形のないものを買うのか-仮想世界のビジネスモデル』第二章所収
2007~
携帯サイトのユーザー分析

PCサイトと携帯サイトでのユーザー行動の違いについてアンケート調査を行った。その他、携帯電話の特性を探るための調査を実施。
野島美保(2008) 「オンラインサービスにおける継続利用の促進:カジュアルゲームサイトの利用動機の実証分析」日本マーケティングサイエンス学会,第84回研究大会 テーマセッション,11月30日,電通。

ユーザーコミュニティと有料利用の関係

前述の有料利用ユーザー調査の結果、インターネット上で形成されるユーザーコミュニティが有料利用を促進していることが示唆されました。特に、当該ゲームで知り合った友人というバーチャルな人間関係が、継続利用を促進させます。

最近では、ソーシャル・ゲームなどで「ソーシャル」と呼ばれる効果も、この一種です。単に招待制や集客に矮小化されがちですが、「バーチャルな人間社会を作ることでコンテンツの魅力と寿命を高める」という、非常に複雑な運営を本来意味します。コミュニティは活性化しさえすればよいのではありません。負の効果も表れることもあります。コミュニティ、ソーシャルと一口に説明するのではなく、一つ一つの効果を解明し、有料利用に結びつくように、段階別に整理することが必要です。

2004~2006
バーチャルワールドにおけるオピニオンリーダー像
インターネット上のコミュニティ・リーダーの行動について定量調査し、先行研究のオピニオンリーダー像と比較検討をした。
一人の万能なリーダーではなく、複数のリーダーの協業によって、他ユーザーの消費行動に影響を及ぼしていることを定量的に示した。

野島(2005)「ウェブ上のユーザーコミュニティの形成過程」日本マーケティングサイエンス学会,第78回研究大会 部会報告,12月11日,法政大学。
2005~
仮想世界内経済の研究

MMOやセカンドライフなど、仮想世界内に経済システムが実装されている。仮想通貨の流通と換金問題、仮想アイテムの需給について調査した。
現実の経済と大きく異なるのは、①仮想アイテムの供給量を瞬時にいくらでも変えることができること、②物理的制限がないので必需品がない、仮想アイテムの需要創造にノウハウがいる、③嫌になればすぐにやめられる世界であるため、ユーザーのモチベーションが鍵となることである。
どのような社会経済システムを実装すれば、ユーザーがモチベーションを保ちながら利用してくれるのか。

野島美保(2008)『人はなぜ形のないものを買うのか-仮想世界のビジネスモデル』にて一部調査を紹介

満足度と料金制度の調査

売り切りのパッケージ販売やダウンロード販売とは異なり、SaaS(クラウド)時代では、継続サービス型にビジネスモデルがシフトします。使用前に料金をとる前払い方式では、コンテンツの前評判やマス広告などによる「満足度の期待値」にしたがって、顧客は支払をします。一方、継続サービス方式では、最初に無料で使い、一定の満足が得られた後に有料利用します。「期待値を上げる」マーケティング活動から、「無料から有料への道筋」をつけるマネタイズ方法へ、根本的に考え方を変えなければなりません。

そこで、満足度が時とともにどのように変化するのかを記述する調査や、有料利用へと切り替わるタイミングや理由についての調査、企業が採択する料金制度に関する調査をしています。現在も調査は進行中ですが、これらの結果からSaaS(クラウド)時代のマネタイズ理論を構築しようとしています。

2005~2007
満足度の時系列変化
従来は一時点で測定していた満足度を、時系列変化で追うという新しい試み。ゲーム満足度の一ヵ月毎の多時点観測を行った。
野島美保(2007) 「デジタルコンテンツの顧客満足度曲線:オンラインゲームの事例分析」、井上哲浩・日本マーケティングサイエンス学会編 『Webマーケティングの科学:リサーチとネットワーク』4章所収、千倉書房。
野島美保(2008)『人はなぜ形のないものを買うのか-仮想世界のビジネスモデル』にて一部調査を紹介
2005~
ゲームの料金制度の調査

定額制からアイテム課金への移行、企業の論理とユーザーの反応を調査。満足度曲線の形状と適合する料金制度の考え方。

野島美保(2007) 「仮想世界ビジネスの収益決定要因」『組織科学』第41巻,第1号,pp.15-25.
野島美保(2008)『人はなぜ形のないものを買うのか-仮想世界のビジネスモデル』にて一部調査を紹介